グリーフケアの学校で伝えたいこと

死別をはじめとした喪失の悲嘆を「グリーフ」と言います。

その悲嘆を支える取り組みが「グリーフケア」です。

 

なぜ、グリーフケアの学校を始めたのか、

少しだけ、この後の話におつきあい頂ければ幸いです。

 

私とグリーフケアの接点は、

幼少時の大きな喪失体験や友人の自死を目の前にしたことに始まります。

 

そんな中、私を孫のように可愛がってくださる80歳すぎの女性がいました。
彼女は、私が20年前から取り組んできた死の哲学に関心をもち、

続けて話を聞いてくださった方でした。

 

その後、私は日本を離れ、1年ほど海外で仕事をしていました。
帰国後、彼女の自宅に電話をしたときのことです。


「母は施設です!私も限界なの!全部母のせいよ!」

 

火に触れたような勢いで怒鳴ったのは、

一緒に暮らしていた娘さんでした。

2ヶ月後ようやく仕事の都合をつけ、

私がお婆さんの施設へ見舞いに向かったところ、
すでにお婆さんが亡くなっていた事実を知りました。
 
彼女は亡くなる2年前に夫を亡くし、
その半年後には60歳の長男を事故で失い、
施設でも誰とも交わらず、一人で途方に暮れていたといいます。

 

「職員もどう接すれば一番いいのか、わからないままでした……」


施設長の話に愕然としたことを覚えています。

後日お会いした娘さんは、
苦労をかけ続けた母親を施設に預けざるを得なくなり、

最期に立ち会えなかった自分をひたすら責め続けていました。

 

「母に申し訳ない……」

 

と言葉を重ね、娘さん自身、

日常生活もままならぬ状態から抜け出せない様子でした。

     

家族、親戚でないとはいえ、

特別な想いで大事にくださった方に対し、
何もできなかった自分が、ただただ情けないばかりでした。

 

自分は大切な人とどこまで向き合えたのか。

いったい私は何を学んできたのか。


死を前にしたご本人やご遺族の悲しみに
十分寄り添えていないのは、他ならぬ私ではないか。
何かを変える必要に迫られたのです。


2013年、日本人の死者は126万8432人と発表されました。
2040年、この数は167万人に上るといわれます。

 

現在の日本では、毎日3000人以上の方が亡くなっており、

それだけ多くの方が哀しみに暮れています。

今後20年から30年の間に私たちが経験するのは、

確実に死と向き合う社会です。


これまで「看取り」といえば、病院が主な舞台でした。
しかし、多死社会にともなって看取りは介護施設や在宅へと多角化し、
医療や福祉従事者にとどまらず、
家族が自宅で看取りを行うケースも増えてきています。

  

そもそも看取りを学ぶ必要なんてあるの? 

と思う方もいらっしゃるでしょう。

たしかに当たり前の如く、

身近な家族を看取っていた時代においては、

このような取り組みなどいらなかったかもしれません。

 

しかし、悲嘆についてあまりにも知らなすぎることで、

想像以上のショックを受ける方も少なくないのです。


あなたにとって「看取り」はどんなイメージでしょうか。

ある人は「私は夫を看取ることができた」と語り、
また別の人は「母を看取ることができなかった」といいます。

そして多くの場合、

その瞬間、亡くなる方の傍にいたかどうかが問われ、
その瞬間、どんな様子(穏やかだった、辛そうだった)かで、
看取りの善し悪しが語られるのではないでしょうか。
 
しかし看取りには、その場に居るとか居ないという事実や、
表面的に見てとれる故人の様子以上に大切なことがあります。
  
看取りという言葉から想像されるのは、
一人の方が亡くなる瞬間(死)かもしれません。
 
もしその瞬間を「点」だとすれば、
看取りは瞬間的な出来事というより、
むしろ、故人とのそれまでの関わり方から、
大切な方の死後、残された私たちがどのようなあり方をするのかという、

死の前後を結んだ「線」と考えるほうが適切ではないでしょうか。
  
なぜなら、その生前の関わり方、その後の私たちのあり方によって、
亡くなったという事実に対する意味づけが大きく変わるからです。
 
また一人の死によって影響を受けるのは、決して家族だけではありません。
故人の友達、仕事の仲間、近所の方、学校の先生、恋人……。
家族も知らなかった大変多くの方が心に傷を抱えているのです。
そこまで想像を広げると、もはや「線」で考えるのも十分ではなく、
故人を中心にした「面」で捉える方がより適切でしょう。

  

さらに看取りでは、様々な考え方や死生観の方と接しながら、
「自分の対応が本当によかったのだろうか」と悩む場面もあります。
あるいは相手のスピリチュアル(生きる理由の喪失、死後の不安)な側面に

どう向き合えばいいのかという不安を抱えることも少なくありません。
 
看取りは医療技術の進歩だけで解決しない、
さまざまな課題をつけられています。

 
私は20年間、死の哲学に取り組み、

1000人以上の現場で死と向き合う方々と接する中、

「もう二度と経験したくない」

という後悔を何度もしてきました。

その一方で、 
「あなたに逢えて本当に良かった。

支えてもらったおかげで、最期に母と向き合えました」

といってくださる方とも沢山出逢ってきました。


「あと半年の命なら何をするのか」
「自分にしかできないことは何か」
 と幾度も自分に問いかけた2014年の秋。

長年携わった仏門を離れる決意をし、
死別に代表される喪失体験の悲嘆に寄り添う上で、

本当に必要な心や技術を伝えるために、
一般社団法人日本グリーフ専門士協会を立ち上げ、
グリーフケアの学校「グリーフ専門士養成スクール」という事業に取りかかりました。
 
本協会は、アドラー心理学、ゲシュタルト療法、NLP、

ミルトン・エリクソンのアプローチをベースに、

グリーフケアの本質や対人援助のあり方から常に世界の先端を追求しています。

 

死という命題を多方面から理解し、
自らの「死生観」を深めることを大切にしながら、
看取り援助や遺族の支援で何が本当に必要なのか、

対話やワークを通じて一緒に学んでいきます。

  

けっして簡単な道ではありませんが、

スクールで学ばれたあなたは、

悲嘆を支える専門家「グリーフ専門士」として、

死を前にしたご本人の苦しみを支えることはもちろん、
喪失体験に打ちひしがれる方々に寄り添い続けるためのぶれない軸ができるでしょう。

    

またそれは、

「生きてきてよかった」

「あなたに逢えてよかった」

といってくださる方々の声や想いに押し出され、

より良く生きる一助を得る道であると確信しています。

  

何より、自分自身が遺族として、

いずれ経験するつらい喪失と向き合うとき、

自分の心の取り戻す大きな力となるものです。

  

長文におつきあいくださり、本当に有り難うございました。

いつかスクールでお逢いできる日を楽しみにしております。

  

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          一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 代表理事

               グリーフケアの学校 グリーフ専門士養成スクール 校長

 

                                                   井手  敏郎


最新情報

 

2015年12月28日

平成26年度の初級、中級講座を追加しました。

2016年3月  4日 平成26年度の大阪、熊本、高知の初級講座を追加しました。
2017年10月 23日 平成28年度の日程を追加しました。